AIに任せない仕事は何か。そこが自社の強み
AIの弱点を知ることが、自社の強みになる
私は、AI導入で一番大事なのは「AIに何をさせるか」より先に「AIに何を渡さないか」を決めることだと考えています。AIの弱点を知ることは、遠回りに見えて、実は自社の強みをいちばん早く言語化する方法です。なぜなら、AIが苦手な領域こそ、お客様がお金を払ってでも人間に会いたい理由そのものだからです。
2026年3月25日に私自身、AIの弱点について整理する機会がありました。そこで見えたのは、AIには3つの根本的な弱点があるということです。
なぜAIの弱点を知ることが自社の強みになるのか
理由はシンプルです。AIは「情報」を扱うのが得意で、人間は「体験」を扱うのが得意だからです。この役割がはっきりすれば、どこにAIを入れ、どこに人を残すかの判断が迷わなくなります。
私が整理したAIの3つの弱点は次の通りです。
| AIの弱点 | 具体的に何ができないか |
|---|---|
| 責任が持てない | 判断はできても、結果を背負えない |
| 身体性がない | 海の温度・波の怖さ・匂い・空気感が分からない |
| 関係性が作れない | 信頼・絆・その場の空気を読むことができない |
この3つを裏返すと、そのまま「人間にしかできない価値」のリストになります。私はこれを、事業の中で表と裏の2層に分けて考えています。
- 表(できる限りAIに触らせない層):感情・体験・信頼づくり
- 裏(AIで爆速化する層):集客・分析・仕組み化
表の層を守りながら、裏の層はどんどんAIに任せる。この線引きができている会社ほど、AI導入で迷わなくなります。
具体例:天然水族感とダイビング教育の現場
私が代表を務めるOCSの主力事業「天然水族感」は、初心者や泳げない方でも安心して沖縄の海を楽しめるツアーです。ここでAIができる限り代われない場面がいくつもあります。
たとえば、参加者が水面で足がつかないと分かった瞬間の不安な表情。これはAIがカメラ越しに「不安そうです」と分類することはできても、その場でその人の呼吸のリズムに合わせて声をかけ、手を添え、視線の高さを合わせて安心させる、という身体性を伴った対応はできません。海の現場でお客様と向き合う中で、この「不安を安心に変える瞬間」こそが天然水族感の価値の一つだと感じています。
一方で、この価値を守るために、裏側の業務はAIに積極的に渡しています。予約前の不安を減らすためのヒアリング項目の下書き、天候に関する問い合わせへの一次回答の整理、SNSのネタ出しや構成づくりなど、探す・書く・整える系の作業はAIに任せる領域です。ここを渡すことで、スタッフの手が空き、現場でしかできない「表の価値」に時間を使えるようになります。
ダイビング教育の場でも同じ線引きをしています。天候判断や安全確認、生徒一人ひとりの不安の度合いを見極める最終判断は、私やインストラクターが握ります。これは元ネタにある「RAGで止める条件」、つまり安全・健康の最終判断や例外処理が多いものを人が握る、という考え方そのものです。AIは判断材料と文案までを用意し、最後のボタンは必ず人が押す。この構造は、沖縄ビジネスAIラボで中小企業のAI導入を支援する際にも、まず一番に伝えていることです。
今すぐできる一歩
自社の強みを見つけるための実践はシンプルです。私はこれを「ズレを見るループ」と呼んでいます。
- AIに、今やっている仕事を1つだけ渡してみる
- 出てきた結果と、自分ならこうするという答えの「ズレ」を見る
- そのズレこそが、自分にしか出せない価値だと気づく
まずは、日々の業務を10個ほど書き出してみてください。それぞれに「頻度」「かかっている時間」「ミスやストレスの多さ」を付けます。そして「毎日あって、単純で、地味な仕事」から1つだけAIに渡してみる。その結果、AIがうまくできなかった部分、あるいはお客様の反応が薄かった部分が、そのまま自社の強みの輪郭になります。
まとめ
- AIの弱点は「責任・身体性・関係性」の3つ。これを裏返すと自社の強みが見える
- 表(感情・体験・信頼)は人が守り、裏(集客・分析・仕組み化)はAIに任せる
- 業務を1つAIに渡し、結果とのズレを見ることが、強みを見つける一番の近道
AIに何を渡さないかを決める作業は、地味ですが状況に応じて効きます。焦らず、ちばりよーの気持ちで一つずつ確かめてみてください。
