学んだAIが使えないのはなぜか
私は「学んだけど使えない」が起きる理由を、モデルの性能ではなく現場知識の不足だと考えています。研修で覚えた操作は現場の実データに触れないと定着しません。だから私は、受講生の会社の実データをその場に持ち込ませ、毎月1つ、会社に持ち帰って実際に動くものを作る形に組み立てました。教材を配って終わりにしないことが、区切りをつける一つの方法だと私は考えています。
なぜ「学んだけど使えない」が起きるのか
私は長年、ダイビングの現場でプロを育ててきました。技術を教えるだけでは潜れる人は育ちません。実際の海で、実際の状況に対応させて初めて身につきます。AIも同じだと私は考えています。
ChatGPTの使い方を1回の講座で教えても、翌週には自分の業務に当てはめられない方がほとんどです。理由は単純で、講座で使う例題が自分の会社のデータではないからです。予約表の書式、問い合わせの言い回し、顧客の傾向は会社ごとに違います。一般論の教材をいくら覚えても、自分の会社の実データに触れない限り「使える」にはなりません。
私はこれを「効くAIと効かないAIを分けるのはモデル性能ではなく現場知識」という立場で組み立てています。教材ではなく、受講生自身の会社の実データを持ち込ませてその場で作らせる方式にしたのはこのためです。
毎月1つ、動くものを持ち帰る区切り方は何が違うのか
私が運営する沖縄ビジネスAIラボの主力は「一緒に案を考えるビジネスAIスクール」です。1年12回の少人数制で、実体は毎月1つ、受講生の会社で実際に動くものを作って持ち帰ってもらうことにあります。
海外にはFDK(現場に技術者を常駐させて課題を解く方法)という考え方がありますが、技術者を常駐させるのは費用が重くなります。私はこの向きを逆にしました。技術者が現場へ行くのではなく、受講生本人に自分の会社の実データを持ち込んでもらい、その場で一緒に作る形です。だから少人数に限定しています。
卒業時に受講生の会社に残るのは次の4つです。
- 動く仕組み12個(月1つ×12回分)
- 業務棚卸しマップ
- 自社専用プロンプト集
- 社内で回す手順書
「学んだ」で終わらせず、「1年間で12回、毎回何かが会社に残る」という区切りにしているのがこのスクールの実体です。
私は新しい仕組みを提案するとき、必ず5つの条件で判定しています。①課題に直結するか②2週間以内に体感できる成果が出るか③次に使えるテンプレートになるか④既存の予約や問い合わせの導線に接続できるか⑤私がいなくても回るか、の5つです。この5条件を通らないものは提案しません。
OCSでの実例
私自身、ダイビングや観光の現場でお客様への案内や人材育成に携わってきました。教えるという仕事は、私にとって大切な仕事の一つです。
以前の沖縄ビジネスAIラボは「AIスクールではなくAIビジネス共創ラボ」という位置づけでした。しかし2026年8月7日、私はこの方針を変えました。スクールと名乗った上で、「作って持ち帰る」ことで差別化する方向に切り替えたのです。理由は、私自身の一番の強みが「教えること」にあり、教える形にしたほうが、私がいなくても現場が回る仕組みになるからです。
各期で受講生の会社から出てきた知見は、そのまま次期の教材にはしません。個社の情報を一般化してからでないと教材に反映しない、という線を私は決めています。これは受講生の会社の情報を守るための線であり、同時に、期を重ねるほど教える側の知見が積み重なっていく仕組みでもあります。
今すぐできる一歩
もし「AI研修を受けたが現場で使えていない」と感じているなら、まず自分の会社の実データを1つだけ用意してみてください。予約表でも、よくある問い合わせの文面でも構いません。一般論の教材を追加で読むより、自分のデータに向き合う時間を1つ作ることのほうが、区切りをつける第一歩になると私は考えています。
まとめ
- 「学んだけど使えない」の原因は現場知識の不足であり、モデルの性能ではない
- 私のスクールの実体は、毎月1つ、会社に持ち帰って動くものを作ること
- 卒業時に残るのは仕組み12個・業務棚卸しマップ・プロンプト集・手順書の4つ
